一般に血液型は親子関係を証明するものと捉えられていますが。
もしO型の両親からA型の子供が生まれたりした場合には、「俺の子供じゃないぞ」なんて不倫を疑ったりして。
でも最近は、血液型は必ずしもメンデルの法則にあてはまるわけではないことがわかってきています。実際にO型の両親からA型の子供が生まれる場合だってあります。まあまれですが。
そこで今回は親子における血液型の例外事例についてまとめてみました。
遺伝子の変化について。
鈴木広一・大阪医大教授によると父親はO型、母親はB型、なのに子供はA型になるパターンがごくまれにみられるとのこと。
このようなことが起きる原因は、母親の母体内における卵子の段階で、血液型を決める遺伝子に変化が起きたために生じるようです。
A、B、Oそれぞれの遺伝子の構造はよく似ており、O遺伝子はA遺伝子の一部が欠けただけで、ほとんど同じ構造だ。このため、卵子でO遺伝子の欠損部分がB遺伝子の一部と組み換わり、A遺伝子と同じ構造に。受精卵で母親の「A」と父親の「O」が組になり、A型の男が生まれた。
平成9/8/18 日本経済新聞より
詳細は「Medical Technology」1998年1月 26巻1号に「親子鑑定と血液型」という題で載せられているみたいです。
シスAB(cis AB)型について。
片方の親がAB型なのにO型の子が生まれたり、逆に片方の親がO型なのにAB型の子が生まれることもあります。
こちらの原因は、血液型を決定する同一の染色体上にAとBの遺伝子が乗っかってしまったために生じるものです。
これがシスAB型と呼ばれるものですが、非常にまれとのこと。シスAB型の血液型はAB型の人達に占める割合の0.012%といわれます。日本におけるAB型の割合は人口の10%なのでかなり少ないんですが・・。
でも日本には1億3000万人近い人がいる訳なんです。
ざっと計算するとシスAB型の人はおよそ
15.6万1,560人いるということに。となると現実の親子問題としてけっこう知られざる悲劇が生じていたりするのではないでしょうか。よくわかりませんが。
O型のボンベイ(bombay)型について。
通常、A型やB型はH抗原の上に載っている物質なんですけど、このH抗原自体が欠損しているためにAやBの遺伝子を持っているにも関わらず、血液型の型を示す物質が表現されないことがあります。
つまり本当はA型やB型の血液だったりするんですが、血液型としてはO型となってしまうのがこのボンベイ型といわれるものです。
(ちなみにこのボンベイ型のO型の人は輸血の際に注意が必要です。血清中に抗H抗体が存在するため、普通のO型の血液を輸血すると凝固してしまいます。違う型の血液を輸血するのと同じことなので。でも病院で輸血する際には、ボンベイ型をはじめきちんと検査した上で輸血するので大丈夫。)
そこで問題になるのが、ボンベイ型のO型の親と普通のO型の親との間に生まれる子供の場合。
ボンベイ型のO型は遺伝子自体はA型やB型だったりするので、両親ともO型なのに子供はA型やB型となることがあります。
さてと、いままで取り上げたのは非常にまれだといわれるものが多いわけなんですが、親子関係に関わるものだけにこのような例外事項があるということは押さえておいた方がいいかと。
たまに血液型で悩む人もいるらしいので。
こんなことは学校の授業で教えてくれないし。