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近親相姦の禁止について。
神話などを除いても、エジプトを初めとする王族には近親相姦する例(ロイヤル・インセスト)はいくつかみられます。
クレオパトラなんて弟と結婚したりしてね。
でもこのような事項を除くと、近親相姦の禁止(インセスト・タブー)は人類に普遍的なものだといわれています。古代ローマでは近親相姦は禁じられていて、発覚すると罪人はタルペイアの岩から突き落とされたそうです。ではなぜ人類は近親相姦をタブーとしているのかが問題なのですが。
まず近親相姦を避ける(インセスト回避)事例から。

1.動物たち
さきに人類に普遍なんて書いてみましたが、もともと動物たちにはインセスト回避を行う行動が観察されています。代表例が雄がハーレムを作ることですね。
・ハーレム制
ハーレムのボス雄が雌を独占することはインセスト回避につながります。雌を独占することはそこで生まれる娘たちとの性交可能性があるんですが、娘たちが生殖可能になるまでにはたいていボスが交代してしまうので。
・子殺し
ライオンやサル、イルカなどにみられる行動ですが、子殺しという行為はインセスト回避の結果生じたものだと思われます。
ハーレムから追われた雄や、性的に成熟した雄たちはハグレ雄として別のハーレムのボスの地位を伺ったりします。いわば血縁集団から離れたハーレムを乗っ取り、そのうえで性交するため前ボスの子供を殺すという行為になるのです。

以上のようなインセスト回避行動は日本の研究者が最初に発見したようですね。
参考 :杉山幸丸「子殺しの行動学」
また個体識別された野猿公園のニホンザルで、少なくとも母親と思春期に至った息子の間で性交渉が回避されていることが報告されていますし。
ニホンザルの場合は雄が群れから出ますが、チンパンジーは雌が群れから出るようです。

しかし他の猿社会はかなりの頻度で同系交配が行われているようですし、またマウスやハムスター、ウサギなどはインセスト回避のためのプログラムを持たないようです。
まあマウスなどは人為的な環境におかれているからそのように見えるだけで、自然環境では行動範囲は拡散し、また補食されるため問題とならないようです。


2.生理学的にみると。
よくインセスト・タブーの理由として挙げられるのが遺伝子病の発現とかです。
でも、近親相姦における子孫の遺伝異常を問題とするのは近代になってから理由付けされたものですね。
では経験的に、近親相姦によってどれだけ異常が見られたのかが問題です。
血縁個体の間に生まれた子が、非血縁個体の間に生まれた子に比べて病弱で、生存力が劣ること(近交弱勢という)は、ヒトを含む多くの生物で観察されている。

 青木健一

近交係数が大きいほど、死亡率が高くなっている。この差は統計学的に有意である。劣性遺伝子の関与が伺われる。

 遺伝的平衡が突然変異と選択の釣合い:近親婚の影響

山内昶「タブーの謎を解く」では親兄弟(姉妹)間で遺伝子の異常頻度が2.6倍になるとありますが、筆者も書いているように確実なものではなさそうです。

以上の記述とは逆に、近親交配は遺伝的に安定した戦略であると考えることもできます。
上記リンク先によると、劣性の有害な弱勢遺伝子が遺伝子プールから除かれちゃえば、近親婚が続くことは比較的高い適応度を維持することができるようです。まあ環境が変わらなければという条件付きですが。

3.ウェスターマーク効果
霊長類では生まれてからの社会的な経験が性交回避を引き起こしているともいわれています。それがウェスターマーク効果(Westermarck Effect)と呼ばれるものです。
1891年にウェスターマークは「人類婚姻史」において一緒に育った近親者同士はたがいに性的な関心を失う傾向があると示唆しているそうですが僕は読んでいないので。
この効果は黙殺状態にあったのですが、近年イスラエルのキブツなどの調査によって追認されています。(Shepher、1971年)
つまり血縁関係がなくても、幼いときから一緒に育ったカップルは結婚を避けたり、また結婚しても不倫・低い出生率および高い離婚率を示したそうです。
しかし単に心理的に強制された禁止によってこのような現象が生じただけ、というスパイロの反論もあってまだ決定的なものとはいえないようです。

4.文化人類学による説明。
というより構造主義ですが。レヴィ・ストロースの交叉イトコ婚が有名です。
乱暴に要約すると、バンド単位で女性を交換する婚姻規則がタブーを成立させたということ。
つまり女性には2種類あり、「身内の女性」は、「部外者の男性」 に捧げる交換品として価値があるため「妻にできる女性」と「できない女性」が区分されてしまうということ。
つまりインセスト・タブーとは、女性が『交換価値』 であることの裏側(商品に傷を付けるな!)という禁止という禁忌なのです。
しかしこの説では、なぜそもそも女性を交換しなければならないのかというところが僕にはまだよくわかっていないのですが、婚姻関係から発した共族意識を持つことが有利であるからと説明されていたりします。まあ通俗的にみると政略結婚ということになりますか。
しかしこの制度によって、生物学的なインセスト回避から文化的なインセスト・タブーへの変化について説明することができるようになります。

5.結論として
いろいろ事例をみてきましたが、なぜタブーが発生したのかその直接の答えにはなっていませんがそんなものでしょう。とりあえず生物は基本的には近親交配を避ける方向にあるのではないかと。つまりインセスト回避はサルから、タブーは社会構造から引き継がれてきているということができますが納得できたでしょうか。できませんかそうですか。

僕は遺伝子乗り物説ということを考えていますが。
身内のみに性交可能性を限定してしまうと、時によって相手がいなくなってしまう場合があることが一番の問題なのではないかと。
他部族へと可能性を広げることでいくらでも自分の遺伝子をばらまくことができるようになるのですね。

チンギス・ハーンの子孫はすごいですよ。
DNA鑑定を実施するオクスフォード・アンセスターズ社は、中央アジアなどで計「1700万人」の男性が、チンギス・ハンの遺伝子を受け継いでいる可能性を指摘している。

 チンギス・ハン子孫は食事無料と、英のモンゴル料理店 2004.07.07?- CNN/AP
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